土地区画整理法


(建築物等の移転及び除却)
第77条 

1項
施行者は、第98条第1項の規定により仮換地若しくは仮換地について仮に権利の目的となるべき宅地若しくはその部分を指定した場合、第100条第1項の規定により従前の宅地若しくはその部分について使用し、若しくは収益することを停止させた場合又は公共施設の変更若しくは廃止に関する工事を施行する場合において、従前の宅地又は公共施設の用に供する土地に存する建築物その他の工作物又は竹木土石等(以下これらをこの条及び次条において「建築物等」と総称する。)を移転し、又は除却することが必要となつたときは、これらの建築物等を移転し、又は除却することができる。

2項 
施行者は、前項の規定により建築物等を移転し、又は除却しようとする場合においては、相当の期限を定め、その期限後においてはこれを移転し、又は除却する旨をその建築物等の所有者及び占有者に対し通知するとともに、その期限までに自ら移転し、又は除却する意思の有無をその所有者に対し照会しなければならない。

3項 
前項の場合において、住居の用に供している建築物については、同項の相当の期限は、3月を下つてはならない。ただし、建築物の一部について政令で定める軽微な移転若しくは除却をする場合又は前条第1項の規定に違反し、若しくは同条第3項の規定により付された条件に違反して建築されている建築物で既に同条第4項若しくは第5項の規定により移転若しくは除却が命ぜられ、若しくはその旨が公告されたものを移転し、若しくは除却する場合については、この限りでない。

4項 
第1項の規定により建築物等を移転し、又は除却しようとする場合において、施行者は、過失がなくて建築物等の所有者を確知することができないときは、これに対し第2項の通知及び照会をしないで、過失がなくて占有者を確知することができないときは、これに対し同項の通知をしないで、移転し、又は除却することができる。この場合においては、相当の期限を定め、その期限後においてはこれを移転し、又は除却する旨の公告をしなければならない。

5項 
前項後段の公告は、官報その他政令で定める定期刊行物に掲載して行うほか、その公告すべき内容を政令で定めるところにより当該土地区画整理事業の施行地区内の適当な場所に掲示して行わなければならない。この場合において、施行者は、公告すべき内容を当該土地区画整理事業の施行地区を管轄する市町村長に通知し、当該市町村長は、当該掲示がされている旨の公告をしなければならない。

6項 
第3項の規定は、第4項後段の規定により公告をする場合における期限について準用する。

7項 
施行者は、第2項の規定により建築物等の所有者に通知した期限後又は第4項後段の規定により公告された期限後においては、いつでも自ら建築物等を移転し、若しくは除却し、又はその命じた者若しくは委任した者に建築物等を移転させ、若しくは除却させることができる。この場合において、個人施行者、組合又は区画整理会社は、建築物等を移転し、又は除却しようとするときは、あらかじめ、建築物等の所在する土地の属する区域を管轄する市町村長の認可を受けなければならない。

8項 
前項の規定により建築物等を移転し、又は除却する場合においては、その建築物等の所有者及び占有者は、施行者の許可を得た場合を除き、その移転又は除却の開始から完了に至るまでの間は、その建築物等を使用することができない。

9項 
第7項の規定により建築物等を移転し、又は除却しようとする者は、その身分を示す証票又は市町村長の認可証を携帯し、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。

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