農地法
 

(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
第3条 

1項
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用賃借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第5条第1項本文に規定する場合は、この限りでない。
1号 
第46条第1項又は第47条の規定によつて所有権が移転される場合
2号 
削除
3号 
第37条から第40条までの規定によつて農地中間管理権(農地中間管理事業の推進に関する法律第2条第5項に規定する農地中間管理権をいう。以下同じ。)が設定される場合
4号 
第43条の規定によつて同条第1項に規定する利用権が設定される場合
5号 
これらの権利を取得する者が国又は都道府県である場合
6号 
土地改良法(昭和24年法律第195号)、農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)、集落地域整備法(昭和62年法律第63号)又は市民農園整備促進法(平成2年法律第44号)による交換分合によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合
7号 
農業経営基盤強化促進法第19条の規定による公告があつた農用地利用集積計画の定めるところによつて同法第4条第4項第1号の権利が設定され、又は移転される場合
7号の2 
農地中間管理事業の推進に関する法律第18条第5項の規定による公告があつた農用地利用配分計画の定めるところによつて賃借権又は使用貸借による権利が設定され、又は移転される場合
8号 
特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律(平成5年法律第72号)第9条第1項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第2条第3項第3号の権利が設定され、又は移転される場合
9号 
農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成19年法律第48号)第8条第1項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第5条第8項の権利が設定され、又は移転される場合
9号の2 
農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成25年法律第81号)第17条の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第5条第4項の権利が設定され、又は移転される場合
10号 
民事調停法(昭和26年法律第222号)による農事調停によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合
11号 
土地収用法(昭和26年法律第219号)その他の法律によつて農地若しくは採草放牧地又はこれらに関する権利が収用され、又は使用される場合
12号 
遺産の分割、民法(明治29年法律第89号)第768条第2項(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第958条の3の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合
13号 
農地利用集積円滑化団体(農業経営基盤強化促進法第11条の14に規定する農地利用集積円滑化団体をいう。以下同じ。)又は農地中間管理機構が、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地売買等事業(同法第4条第3項第1号ロに掲げる事業をいう。以下同じ。)又は同法第7条第1号に掲げる事業の実施によりこれらの権利を取得する場合
14号 
農業協同組合法第10条第3項の信託の引受けの事業又は農業経営基盤強化促進法第7条第2号に掲げる事業(以下これらを「信託事業」という。)を行う農業協同組合又は農地中間管理機構が信託事業による信託の引受けにより所有権を取得する場合及び当該信託の終了によりその委託者又はその一般承継人が所有権を取得する場合
14号の2 
農地中間管理機構が、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地中間管理事業(農地中間管理事業の推進に関する法律第2条第3項に規定する農地中間管理事業をいう。以下同じ。)の実施により農地中間管理権を取得する場合
14号の3 
農地中間管理機構が引き受けた農地貸付信託(農地中間管理事業の推進に関する法律第2条第5項第2号に規定する農地貸付信託をいう。)の終了によりその委託者又はその一般承継人が所有権を取得する場合
15号 
地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下単に「指定都市」という。)が古都における歴史的風土の保有に関する特別措置法(昭和41年法律第1号)第19条の規定に基づいてする同法第11条第1項の規定による買入れによつて所有権を取得する場合
16号 
その他農林水産省令で定める場合

2項 
前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。ただし、民法第269条の2第1項の地上権又はこれと内容を同じくするその他の権利が設定され、又は移転されるとき、農業協同組合法第10条第2項に規定する事業を行う農業協同組合又は農業協同組合連合会が農地又は採草放牧地の所有者から同項の委託を受けることにより第1号に掲げる権利が取得されることとなるとき、同法第11条の31第1項第1号に掲げる場合において農業協同組合又は農業協同組合連合会が使用貸借による権利又は賃借権を取得するとき、並びに第1号、第2号、第4号及び第5号に掲げる場合において政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。
1号 
所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を取得しようとする者又はその世帯員等の耕作又は養畜の事業に必要な機械の所有の状況、農作業に従事する者の数等からみて、これらの者がその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき農地及び採草放牧他の全てを効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うと認められない場合
2号 
農業生産法人以外の法人が前号に掲げる権利を取得しようとする場合
3号 
信託の引受けにより第1号に掲げる権利が取得される場合
4号 
第1号に掲げる権利を取得しようとする者(農業生産法人を除く。)又はその世帯員等がその取得後において行う耕作又は養畜の事業に必要な農作業に常時従事すると認められない場合
5号
第1号に掲げる権利を取得しようとする者又はその世帯員等がその取得後において耕作の事業に供すべき農地の面積の合計及びその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき採草放牧地の面積の合計が、いずれも、北海道では2ヘクタール、都府県では50アール(農業委員会が農林水産省令で定める基準に従い、市町村の区域の全部又は一部についてこれらの面積の範囲内で別段の面積を定め、農林水産省令で定めるところにより、これを公示したときは、その面積)に達しない場合
6号
農地又は採草放牧地につき所有権以外の権原に基づいて耕作又は養畜の事業を行う者がその土地を貸し付け、又は質入れしようとする場合(当該事業を行う者又はその世帯員等の死亡又は第2条第2項に掲げる事由によりその土地について耕作、採草又は家畜の放牧をすることができないため一時貸し付けようとする場合、当該事業を行う者がその土地をその世帯員等に貸し付けようとする場合、農地利用集積円滑化団体がその土地を農地売買等事業の実施により貸し付けようとする場合、その土地を水田裏作(田において稲を通常栽培する期間以外の期間稲以外の作物を栽培することをいう。以下同じ。)の目的に供するため貸し付けようとする場合及び農業生産法人の常時従事者たる構成員がその土地をその法人に貸し付けようとする場合を除く。)
7号 
第1号に掲げる権利を取得しようとする者又はその世帯員等がその取得後において行う耕作又は養畜の事業の内容並びにその農地又は採草放牧地の位置及び規模からみて、農地の集団化、農作業の効率化その他周辺の地域における農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合

3項 
農業委員会は、農地又は採草放牧地について使用貸借による権利又は賃借権が設定される場合において、次に掲げる要件の全てを満たすときは、前項(第2号及び第4号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、第1項の許可をすることができる。
1号 
これらの権利を取得しようとする者がその取得後においてその農地又は採草放牧地を適正に利用していないと認められる場合に使用貸借又は賃貸借の解除をする旨の条件が書面による契約において付されていること。
2号 
これらの権利を取得しようとする者が地域の農業における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること。
3号 
これらの権利を取得しようとする者が法人である場合にあつては、その法人の業務を執行する役員のうち1人以上の者がその法人の行う耕作又は養畜の事業に常時従事すると認められること。

4項 
農業委員会は、前項の規定により第1項の許可をしようとするときは、あらかじめ、その旨を市町村長に通知するものとする。この場合において、当該通知を受けた市町村長は、市町村の区域における農地又は採草放牧地の農業上の適正かつ総合的な利用を確保する見地から必要があると認めるときは、意見を述べることができる。

5項 
第1項の許可は、条件をつけてすることができる。

6項 
農業委員会は、第3項の規定により第1項の許可をする場合には、当該許可を受けて農地又は採草放牧地について使用貸借による権利又は賃借権の設定を受けた者が、農林水産省令で定めるところにより、毎年、その農地又は採草放牧地の利用の状況について、農業委員会に報告しなければならない旨の条件を付けるものとする。

7項 
第1項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。

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